地球は過去3度スノーボールになり、赤道の海まで凍り付きました。
そして陸上の生物はもちろん海の生物のほとんども絶滅したのです。
今後地球がいつ再びスノーボールにならないとも限らない。
地球が温暖化すると生物相は豊かになり、
寒冷化すると多くの種が絶滅するのです。
でも苔だけは僅かに生き残ることができ、新たな進化の歴史が始まります。
そこには他の生命体を食べて生きる厄介なものはいない。
光合成によって自給自足で生きる植物の世界です。
そして進化してやがて苔人間が生まれます。

苔人間は他の植物とは違って移動することができます。
でも日頃はナマケモノのごとくただただ湿っぽいところで光を食べて暮らしています。
でも何日も雨が降らなくて乾燥してくると、
う~~~ん、面倒臭いなぁ~といってそろりそろりと水のそばに移動する。
雨が降り続いて川が溢れそうになると、
う~~~ん、面倒臭いなぁ~といってそろりそろりと川から離れます。

苔人間に家はいりません。
雨除けをする必要はないからです。
雨降りこそ最もいい天気。
雨大歓迎なのです。

苔人間に衣はいりません。
裸の暮らしこそもっとも快適な暮らしです

苔人間は食を求めてあくせく働くこともありません。
ただただ寝そべって木漏れ日に当たれば暮らしていけるのです。

というわけで苔人間の社会では競争はありません。
学校もない、会社もない。
勉強しなくてもいい。
働かなくてもいい。
年金もいらない。
恋愛なんてややこしいこともしなくていいのです。。
もちろん苔男も苔女もいるけど、
苔男は時々、風の強い日にふっ~~~とたくさんの胞子を口から噴き出すだけ。
それが風に飛ばされて、苔女のとこにたどり着くと受精してやがて子供が生まれる。
でも子育てなんてややこしいことをすることもない。
子供はすぐに光合成を初めて自活し、そのうちどこかに行ってしまいます。
というわけで苔人間社会では家族や村と町や国なんて存在しない。
ただただのほほんと生きていく。
他の人に迷惑をかけることもなく、
他の人から迷惑をかけられることもない。
気ままに生きて、気ままに死んでいく。
毎日寝転んで空を見て雲を見て夕日を見て星を見て夢を見て暮らすのです。





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